相続

相続について

遺産分割によって実現すべきは相続人間の公平です。
しかし、この「公平」のとらえ方が相続人の想いや立場から違ってくるため、親が亡くなって遺産を分ける際に、仲の良かった兄弟姉妹が遺産をめぐって争い、絶縁状態になってしまった、というケースが少なくありません。
そして、自分は実家に住んで家を守ってきた、親の介護をしてきた、長男だから、親から生活費の援助を受けてきた等の理由から、それぞれの考える公平が大きく違ってきます。
ここが相続問題の難しいところです。相続人間の感情的な対立を深めることなく、皆が納得できる公平を実現するために、法律を使って交通整理をしながら解決を図ることが極めて重要となってきますので、遺産分割については弁護士に相談しながら進めていく必要があります。
遺産相続によって家族が争うことがないように、遺産を平等に分ける方法についてご説明いたします。

法的相続手段

遺産分割協議

遺産分割協議とは、遺言書が残されていない場合に、相続財産をどう分けるかを相続人全員で話し合うことをいいます。相続財産には、分割しやすい現金や預貯金だけではなく、不動産や株など分割するのが難しい財産もあるので、話し合いは揉めてしまい、遺産分割協議が長期化するケースも少なくありません。
第三者である弁護士が間に入ることで、法的な視点をもとに、話し合いをスムーズに進めることが可能になります。
また、他の相続人と顔を合わせて交渉するという精神的負担もなくなります。

遺留分侵害額請求

遺留分とは、一定の相続人に認められている最低限の相続分のことをいい、それを請求するのが遺留分侵害額請求です。分かり安くいうと、遺留分は法定相続分の2分の1に相当する金額になります。
遺言書によって自分には相続できる財産がまったくなかったり、極めて少額であった場合には、遺言書によって多くの遺産を受け取った相続人(遺留分を侵害している相続人)に対して、最低限の相続分に相当する金額の支払いを求めて、遺留分侵害額請求をすることができます。なお、遺留分侵害額請求は、相続開始を知った日から1年以内に行う必要があります。
話し合いをしても解決できない場合は、家庭裁判所に調停を申し立て、それでも合意できないときは訴訟を起こします。
遺留分の侵害を立証できれば、裁判所が相手方に遺留分侵害額の支払いを命じます。
ただし、遺留分侵害額の計算方法や遺産の評価は、専門的な知識が必要になるので、ぜひ弁護士にご相談ください。

遺言書作成、執行

遺言書は亡くなられた方の最後の意思、希望を表示するものであると同時に、相続人同士の争いを避けることも目的として作成されます。
そして、遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
このうち、公正証書遺言は公証人が立会いのもとで作成されますので後日、無効と判断される余地が少なく、公証役場で保管してくれるので、偽造や紛失などのおそれもありません。
遺言書の内容を実現することを「遺言の執行」といい、実行する遺言執行者を遺言書内で指定しておくことができます。
弁護士を遺言執行者にすることで、煩雑な手続きから相続問題まで一任することができます。
ただし、親の遺産を独り占めしたい等の一部の相続人の意向により不公平な遺言書が作成させられるケースも多くあります。その場合は遺言書作成当時の状況から、遺言書そのものの効力を争っていくという方法を検討する必要もあります。

遺産の分け方について不公平だと感じている方

遺言書の存在により自分だけ相続分が少ない場合や一部の相続人だけ多くもらっている場合、他の相続人は親の生前に生活費の援助を受けていた場合、自分は親の介護をしていたり事業を手伝っていた場合など他の相続人が主張している遺産分割の内容が不公平だと感じることは少なくありません。他の相続人から不公平な遺産分割案を提示された場合、ご自身1人でも反対していれば、遺産分割協議が成立しません。
公平な遺産分割案を作成して再提案することができますが、他の相続人もまた思うところがあって提案してきた遺産分割案なので、協議の成立が難航することが予想されます。特に相続問題は長年の積み重ねが問題として顕在化する傾向があり、話し合いがこじれてしまうことも珍しくありません。他の相続人が反対することが予想される場合には、弁護士に再提案と遺産分割の交渉を依頼することをおすすめいたします。
遺産分割協議に代理人として弁護士を立てることで、法的な視点を交えて、どのような遺産の分け方が公平なのかを相続人に説明、説得することができます。
また、遺言書がある場合には、遺言書の無効を主張することに加えて、遺留分侵害額請求をすることにより自身の相続分を回復することも可能です。遺言無効、遺留分侵害額請求いずれも専門的な手続、知識が必要となりますので、必ず弁護士に相談するようにして下さい。

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遺産の分け方について不公平だと言われている方

法定相続分に従った分け方であっても、他の相続人が親の介護をしていた、親の事業を手伝っていた等の理由から不公平だと主張してくることがあります。また、住宅を購入する際に親に頭金を出してもらった、私立の大学に通わせてもらった、留学させてもらった、一時期生活費を援助してもらっていた等、過去の援助を理由として法定相続分通りの分割では不公平だと主張されることもあります。他にも長男だから多くを相続すべきだという主張も珍しくありません。
相続により実現されるべきは相続人間の「公平」ですが、公平の尺度は人によって異なります。
特に相続財産のなかに実家不動産がある場合には、処分するのか残すのか、誰が引き継ぐのかという点で対立が苛烈になる傾向があります。
だからこそ、遺産分割では法律に従った解決が重要となります。
各相続人の感情に基づいた話し合いをするのではなく、きちんと法律に従った交通整理をしたうえで、各相続人の意向を踏まえた公平な解決を図ることが相続問題解決のポイントとなります。
そのため、遺産分割において遺産の分け方が不公平だと言われている方は、法律の専門家である弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

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その他

その他、相続放棄、相続登記、相続税などについて、詳しくは相続専門サイトをご参照ください。

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